茨城県水戸市で活動しています、徳田社会保険労務士事務所です。
今日は≪パワハラについて≫労務一問一答をお送りします。
セクハラ・パワハラは個人的な感覚で判断すると、大きなトラブルになる可能性を秘めています。みなさまもこれをきっかけに、もう一度見直してみる事をお勧めします!
≪パワハラについて≫
<ご質問>
当社は同族会社でワンマンな経営者なのですが、何かと、
「会社の方針に従えないのなら辞めてしまえ!」と言うニュアンスのことを口にされたり、
感情的になって叱責をしたりするものですから、精神的に追い込まれて退職するものが多くいます。
もしも、退職者からパワハラがあったと言われてしまった場合、どのように対応したらよいのでしょうか?
ワンマン経営の為、社員のモチベーションが最近特に下がっておりまして、特にボーナス前の査定の時期でもあり、「やる気の無い奴は辞めてもらって結構だ!」と個別に言ったようなのです。
言われた社員はストレスによる体調不良の状態にあったようです。
この場合会社に責任を問われることになっても仕方ありませんよね。
当社は、会長が母親、副会長、社長、専務がその息子と娘であり、
全員同じ考え方で結束しており、役員の意見に反する者は辞めさせるというのが慣例になっています。
<お答えした内容>
まず、パワーハラスメントはセクシャルハラスメントと同じように、受け取る側の性格や意識によってその程度に個人差が発生します。
また、どのような意図・文脈で経営者の方が、その発言をされたかも考慮に入れることが重要です。
人格を否定するような発言は問題ですが、たとえばミスがあった時や、叱咤激励など、状況として差し引いて考えられる場合がございます。
そのような言葉と意図の間にギャップがある場合、経営者の方の意図をくみ取り社員に伝える「通訳」のような役割をする方がいれば、大きく状況は違ってくると思われます。
パワハラ自体に関しては、政府からの法律や公式のガイドラインなどはございません。
2007年にパワハラを原因とした自殺を、労災と認めた判決が東京地裁で出されました。
その後も違法性(損害賠償命令など)を認めた例が何件もありますので、係争関係になり敗訴する可能性は十分にございます。
組織としては、そのような法的な争いになる前に、
・労使間での話し合い・状況調査などの措置を行い、合意をとって社内ガイドラインを定める
・パワハラ・セクハラについて申し立てができる部署を設置する
・経営者の方に「パワハラになりうる」ということを少しずつ認識していただけるよう促す
などの対策が考えられます。
現在の状況でお辞めになる方がいらっしゃるのであれば、
人事のご担当者様が誠意をもって退職の手続き等の対応をすることで、退職者の心情を和らげることもできるのではないでしょうか。
まずは未然に防ぐ、ということを念頭に置き対策することが望まれるでしょう。